282.北海道)一発試験 体験記(力作)  
大型自動二輪免許取得への道のり(Rindさん作)

表紙
第一章 きっかけ
第二章 準備開始
第三章 受験の申請(却下)
第四章 講習会1回目(二推第1段階)
第五章 講習会2回目(二推第2段階)
第六章 受験の申請(受理)
第七章 試験第一回目
第八章 講習会3回目(大試乗会)
第九章 試験第二回目
第十章 講習会4回目(二推第2段階)
第十一章 試験第3回目
第十二章 まとめ

第十一章 試験第3回目

 6月22日火曜日、四輪で試験場に行く。その間約45分かかるのだが、その間いろいろ考えた。「今日で取りあえず上限の3回目だなあ。休みもだいぶ取っちゃったし、金も結構かかり始めてる。今日落ちたら、しばらく保留にしようか」と。
 試験場到着。今日は体調が良くないな。歩いているだけで「ふらつき(小)」状態だ。そういえば、申込みだいぶ前だったから今日は1番目か?ということに気付く。そうだったらすごいやだな。試験場に入る前に、建物をぐるっと廻ってコースを眺めた。出発点に置いてあるバイクはよく見えなかったが、白には見えなかったのできっとVFRではなさそうだ。建物に入る。もう段取りに迷うことはない。13時に集合がかかる。今日は自分以外に5人いて、すべて教習所出身者である。もう、前回までに見かけた顔はいない。きっとまた自分の「長靴」が奇妙に見えたことだろう。
 今日の試験官は、今までで一番きびきびしたタイプである。一通りの注意事項のあと、
「今日はCコース、検定車両は4号車のCBで行います」
と言った。前もってこんなにはっきり言われたのは初めてだった。やっぱりCBか、と安心するのと同時に、Cコースがついに来たかといった感じである。まわりもぎょっとしていた。そして、
「受験番号ですが、1001番○○さん(自分の本名)。1002番・・・」
受験番号を前もって言われたのは、今回が初めてだ。うわぁ、やっぱり一番最初かあ。それもCコース。コース間違えそうだな。こうゆう日に限って、回路図を家に忘れてきているのである。
 司令塔一階の集合場所に移動し、再度注意事項があった。そして、
「賃車券をもらいます」
と言ったので、いつも通り千円の印紙を渡した。すると、
「何だこれ。さっき言ったじゃないか。賃車券を自販機で買ってくるようにって」
「いつもこれだったんで・・・」
「何がいつもなんだ!」
「はあ、すいません」
としか言いようがなかった。なんで、人によって対応が全然違うんだ?本当だったら反撃に出るところなんだけど、「受験させて頂く」という極めて弱い立場である以上なにもできない。今まで何人の人が同じ事を思ってきたことだろうか。幸先が悪くなった。
 今日の検定が始まった。1番目のため、今までで一番緊張する。いつも通り練習走行を終え、クランクに突入する。直前で悩んだが、今回は1速に入れた。半クラッチを使うことでクランク内での速度を落とし、無事通過した。次は一本橋であるが、最初ふらついた。そのため今日は少し早めに通過する。続く波状路も最初ふらつくが、無事通過。なんか今日は低速ですごいふらついてしまう。体調も悪いし、9日ぶりに二輪に乗ってるんじゃしょうがないか。今までやってきた中で最低の走りかもしれないな。そのあと、踏切を車線の中央にキッチリ寄せて通過。坂道では、発進時に2センチぐらい逆行してしまった。逆行したことなんて今までなかったなあ。そのあと、問題の急制動である。今日はがっちり行くぜ、と気合いを入れ突入する。エンストせず、余裕で止まれた。ところが、
「ザ〜、はい、速度足りない。到達不能だから、外周をまわってもう一度」
と無線が入った。なにぃ、ホントかよ。せっかく会心の出来だったのに。前回のこともあり、どうしても制動のタイミングばかりが気になる。パイロンに集中しすぎ、速度が40kmより落ちてしまっていたことに気付かなかった。急制動2回目。速度43kmキープで進入。制動の直前で40kmを切りそうだったので、パイロン直前でちょっとアクセルをひねってしまった。ぎくしゃくしながらも、何とかタイヤを鳴らさずに停止。無線は何も言わなかった。そしてCコース最大の難所、S字のあとの極小ターンが迫る。ここは1速に入れて、コケるよりもふらつきを取られた方がいいという判断で、ちょっと大回りして通過する。最後に、スラロームを通過したあと外周に出るのだが、その時「大特」が横からやってきた。出ていいのかどうか悩んでしまい、低速となり思いっきりふらつく。そして、出発点に戻り検定終了。バイクから降りて、ヘルメットを脱ぐ。
「ザ〜、随分ふらついたね。ニーグリップが甘いよ。それから、確認しながら進路変更したね。云々・・・」
今日は無線の音量が小さくて、よく聞き取れなかった。取りあえず今日も完走した形になったが、前回よりも自信はなかった。みんな完走したら、自分は間違いなく落ちるなと思った。
 ところがである。2番目の人はクランクで転倒。3番目の人は一本橋から落下。4番、5番と完走し、6番目の人は急制動で区間超過してしまい検定中止、という結果になった。結局この日は、自分を含め3人しか完走しなかった。結構チャンスがあるかもしれない。またも妙な自信を持ちながら、母屋に戻った。
 発表までのなが〜い待ち時間、今日はなぜか結構落ち着いていた。変な自信があったのと、もうこれでやめようと思っていたからかもしれない。16時に放送がかかる。電光掲示板の前にいたのは、4番目に走った人ひとりだけだった。
「あれ、もう一人完走してなかったっけ?」
と聞いたら、
「なんか、最後のスラロームでパイロンにかすったらしく、中止になったんだって言ってもう帰っちゃったみたいだよ」
「あれ?中止はパイロン倒したらなんじゃないの?」
「あ〜、そうだったらやばいね。合格してたらどするんだろう」
なんて人の話をしていたら、「それでは発表します」と放送が止まった。数秒の間、電光掲示板前の人だかりがシンと静まり返る。そして、ピンポン・・・ピンポン・・・の音と同時に、1001と1004が点灯した。
「うおおぉぉぉ、やった〜、受かったぞ。やった〜、すげえ〜・・・・」
と、前回まで「受かっても絶対に騒ぐまい」と自分で決めていたことをすっかり忘れ、本能に任せて思いっきり騒いでしまった。そうしてもう一人の人と、自然にがっちり握手をしていた。
 その後合格者は、1800円の収入証紙を買って仮免講習室に集合となる。書類に印紙を貼り付け、免許証は翌日交付で、受け取るまでは合格しても無免許であるなど、注意事項を一通り聞いた後、免許用の写真を撮影し、解散となった。
 試験場から出るときに「ああ、これで精神的な束縛が一つ無くなったな」という開放感がこみ上げて、ニヤけてきた。
[1999/07/02]
         
 
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